肝臓がん

肝臓がん

●肝臓がんとは?

「肝臓がん」とは一般的に肝臓から発生したがん(原発性(げんぱつせい)肝臓がん)のことを意味し、B型C型のウイルス性肝炎やアルコール性肝炎の方に発生しやすいと言われています。年間10万人あたり32.2人が罹り、高齢の男性に多い傾向があります。また肝臓がんの初期は殆ど症状がなく、進行して初めて腹痛や黄疸などの症状が出現し発覚する場合があります。そのため肝炎を患っている方は医療機関での定期的な検診が必要となります。

●肝臓がんの検査

血液検査(腫瘍マーカー)、画像検査(超音波、CT、MRI)などによって診断します。がんの大きさや個数、肝機能などにより下記の治療法を選択いたします。

●肝臓がんの治療方法

CTやX線透視、超音波画像を駆使した以下の「画像下治療」を行っています。

  • ・焼灼(しょうしゃく)療法
  • ・動脈(どうみゃく)塞栓術(そくせんじゅつ)
  • ・動注(どうちゅう)療法(りょうほう)

どの治療が適しているかは、肝臓の機能やがんの状態によって異なり、治療前にCTやMRIで正確に病状を把握することが大切です。(上図:画像技術による肝臓がんの3D抽出)

焼灼療法

体表より超音波やCTなどの画像ガイド下に針を肝臓まで進め、癌を直接焼灼する治療です。ラジオ波焼灼(凝固)療法、マイクロ波焼灼(凝固)療法があります。比較的小型の癌が適応となりますが、9割以上で腫瘍の完全壊死が得られ、根治手術に匹敵する治療効果があります。

図1、塞栓術前のCT (丸印が肝臓がん)
図2、画像ガイド下に針を刺入し焼灼
図3、塞栓術1週間後のCT。がんの内部は完全に壊死(死滅)している。

動脈塞栓術

動脈塞栓術(TAE, TACE)はカテーテルを肝臓の血管に進め、ゼラチンスポンジやマイクロスフェア(ビーズ)などの塞栓物質を用いてがんを栄養する血管を塞ぐ治療です。がんの栄養血管のすぐ近くまでカテーテルを挿入する超選択的動脈塞栓術は、副作用が少なく非常に高い効果が得られる治療ですが、専門医の高度なIVRの技術が必要です。また、肝内多発、あるいは巨大肝がんなど進行した状態でも本治療は有効とされ、癌の様々な進行度(ステージ)で適応となり得る治療法といえます。

図1、塞栓術前のCT (矢印が肝臓がん)
図2、血管造影
図3、塞栓術1週間後のCT。がんの内部は完全に壊死(死滅)している。

動注療法

動脈塞栓術の適応とならない、もしくは効果が不十分な場合は動注療法を行っています。
動注療法は、下腹部の皮下に埋め込まれたリザーバーという器具にカテーテル接続し肝臓がんを栄養する動脈から直接抗がん剤を投与する方法です。点滴や内服薬の抗がん剤と比べて高濃度の抗がん剤が、がんに直接作用します。また、全身に流れる抗がん剤の量が少なく副作用が軽減されます。脈管浸潤を伴う進行した肝臓がんでも約70%で縮小が得られた報告があります。

●専門外来

田中 利洋 医師

西尾福 英之 医師