TREATMENT子宮筋腫の治療
あなたの子宮筋腫 当てはまる症状はありますか?
これらは子宮筋腫ができたときにあらわれる代表的な症状ですが、中には自覚症状が全然なくても、かなり大きな子宮筋腫ができている場合があります。
月経異常がある
- 月経が10日以上続く
- 月経の周期が短くなってきている
- 月経時の出血量が以前より多い
- 我慢できないほどの月経痛がある
- 睡眠時に布団を汚してしまうほどの出血がある
- 生理用品の減りが早くなった
- 夜用のナプキンを使用する日が3日以上ある
- ナプキンを1時間ぐらいで交換する
妊娠しない
- 避妊していないのになかなか妊娠しない
貧血症状がある
- 月経以外のときにも不正出血がある
- めまいや立ちくらみをよく起こす
- 動悸や息切れがある
子宮周辺に異常がある
- 下腹部にしこりがある
- おりものが増えた
- 茶褐色のおりものがある
- 慢性的な下腹部痛や腰痛がある
- 便秘気味である
- 頻尿もしくは尿が出にくいことがある
- 性交時に痛みを感じたり、出血することがある
引用:子宮筋腫.com
上記項目に1つでもチェックがあれば、子宮筋腫かも知れません。
当てはまる項目があったり、気になることがある患者様は、婦人科の受診をおすすめします。
治療の選択
子宮筋腫には様々な治療法があります。
主治医とよく相談して、可能な選択肢の中から自分の病状や希望に合った治療法を選択します。
症状がない場合
経過観察で様子を見る
子宮筋腫は、直接体に悪い影響を与えるものではありません。
検査で子宮筋腫が見つかっても症状がないか、あっても日常生活に支障がない場合は、経過観察で様子を見ます。その場合は、6カ月〜1年ごとに定期検診を受けて子宮筋腫の状態をチェックしましょう。
症状がある場合
病状や希望に合った治療法を選択
日常生活に支障を来す症状があれば、治療が必要となります。
子宮筋腫の治療法には下図に示すように様々な選択肢があります。
手術療法には、子宮筋腫だけを核出(切除)する「筋腫核出術」と子宮全体を摘出する「子宮全摘術」があります。
筋腫核出術は子宮を残すので妊娠・出産が可能ですが、子宮全摘術を行えば、その後妊娠できなくなります。したがって、「今後、妊娠を希望するかどうか」が手術法を選ぶ決め手になります。
さらに、それぞれの術式には、お腹を切る方法と切らない方法があります。
筋腫の数や位置、年齢なども考慮して、自分に適した方法を選びましょう。
- 手術療法
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- 筋腫核出術
- 子宮全摘術
- 主な術式
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- 開腹手術
- 膣式手術
- 腹腔鏡下手術
- 子宮鏡下手術
手術以外の治療法
UAE(子宮動脈塞栓術)
子宮動脈塞栓術(UAE)*は、子宮筋腫に栄養を与えている子宮動脈の血流を止めることによって、筋腫を縮小させ、症状を改善する治療法です。
UAEを行うと筋腫は徐々に縮小し元の体積の50〜60%程度になり、子宮筋腫に由来する過多月経や圧迫感などの症状が改善するという報告があります。
UAEの治療は、インターベンショナルラジオロジー(IVR)と呼ばれる血管内治療の専門医がレントゲン(X線)の透視下で画像を確認しながら 治療します。
*Uterine Artery Embolization
対象となる患者さん
- 子宮筋腫による、過多月経、圧迫感などの症状がある方
- 手術を希望しない方、あるいは外科手術のリスクが高い方
対象とならない患者さん
- 妊婦・妊娠の可能性のある方*
- 骨盤領域あるいは子宮に悪性腫瘍の疑いのある方
- 骨盤領域に感染症のある方
- 造影剤によるアレルギーのある方
*将来妊娠を希望される方へ
UAE後に妊娠ができるかどうか明らかではありません。また、UAE 後に妊娠をした場合、流産や帝王切開分娩、分娩後出血のリスクが高まるため、将来妊娠を希望される場合にはUAEの対象にはなりません。
UAE治療の実際
- 1足の付け根に局所麻酔を行います。
- 2足の付け根の動脈にカテーテルを入れ、子宮動脈まで進めます。
- 3カテーテルから塞栓物質を注入して、子宮動脈を塞ぎ血流を止めます。
- 4塞栓が完了したらカテーテルを抜き取り、止血のため傷口を押さえます。
治療時間は1~2時間です。治療後は4〜6時間ベッドでの安静が必要です。
- MERITメリット
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- 局所麻酔なので体への負担が少ない
- 傷がほどんど残らない(数ミリ程度)
- 入院期間が短く、早期の社会復帰が可能
- 筋腫の個数・大きさによらず適用できる
- DEMERITデメリット
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- 将来妊娠を希望する場合には適用できない
- 10〜20%の割合で効果が低い場合や再発の可能性がある
- 再治療(場合により子宮全摘術)が必要なことがある
- 組織検査を行えないので、悪性腫瘍を完全に否定できない
薬物療法
薬物療法は、子宮筋腫による症状を緩和するための対症療法と子宮筋腫を小さくするための内分泌療法があります。
対症療法
<月経困難症に対して>
強い生理痛や下腹部痛に鎮痛剤(非ステロイド性消炎鎮痛剤)が 使われます。補助的に漢方薬も使われます。
<過多月経に対して>
止血剤(トラネキサム酸)、エストロゲン・プロゲスチン配合薬、レボノルゲストレル放出子宮内システムが使われます。
<鉄欠乏性貧血に対して>
過多月経に伴って起こります。食事だけでは鉄分を補給しきれない ため、鉄剤で対応します。
内分泌療法
<GnRHアゴニスト>
GnRHアゴニストというホルモン剤を使って、卵巣ホルモンの分泌を抑えて、短期間月経を止め筋腫を縮小させます。
筋腫核出術や子宮全摘術を予定している方で手術前に縮小させておきたいときなどに有効です。
また、更年期に近い方に対しては、一時的にエストロゲンの分泌を抑え、閉経状態にして筋腫を縮小させ、手術を回避する方法もあります。
MEA(マイクロ波子宮内膜アブレーション)
過多月経の症状改善を目的とした治療法で、アプリケーターという細い器具を子宮の中に入れ、マイクロ波を照射して子宮内膜を加熱、壊死させることによって、月経の出血量を減らします。
- MERITメリット
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- お腹に傷ができない
- 治療時間が短い(10〜数十分)
- 入院期間が短い(日帰り手術が可能な施設もある)
- DEMERITデメリット
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- 将来、妊娠を希望する場合には適用できない
- 過多月経が再発することがある
- 実施施設が限られる
FUS(集束超音波療法)
MRIで患部を確認しながら高周波の超音波を照射し、その熱エネルギーで子宮筋腫の細胞を加熱、壊死させ、筋腫を縮小し改善する治療法です。将来、妊娠を希望しない方が対象となります。
- MERITメリット
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- お腹に傷ができない
- 日帰りで治療できる(治療時間3〜4時間)
- 重篤な合併症が少ない
- 社会復帰が早い
- DEMERITデメリット
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- 将来、妊娠を希望する場合には適用できない
- 適応できる筋腫が限定される(筋腫の位置、大きさ、個数など)
- 再発する可能性がある
- 保険適応外のため、自費診療となる
- 実施可能な施設が非常に少ない